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今日の晩御飯はサンマ定食

読んだもの見たものやったものを自分なりに整理、紹介。備忘録。

最果てのパラディン3巻上下巻感想。竜との決戦と勇気の在り処。


遂に竜との決戦となる第3巻を読み終えたのでその感想を書きます。
上巻でその準備をして、下巻で遂に決戦、というような流れでした。



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あらすじ

瘴気に飲まれた『森の王』を助けたことで得られた助言。
それは竜の災厄が近づいていることを知らせるものだった。
さらに不死神スタグネイトからも死の予言を受けたウィルは戦うべきか、逃げるべきかと悩むこととなる。
そんなウィルの背中を新たに仲間なったドワーフの青年ルゥの言葉、そしてその心が後押しする。

滅びたドワーフの国のその奥で切られる竜との決戦の火蓋。
ウィルやその仲間たちは生き残ることが出来るのか……。


感想

この巻は2巻に引き続き『ウィルの弱さと向き合う巻』だったと感じています。

基本的にウィルは強い人間です。
ワイバーンを絞め殺したり、巨人を投げ飛ばしたりと常人では考えられないようなことが出来るほどに。
ただ同時にウィルは弱い人間でもあります。
前世では挫けて立ち直れなかったり、他の人間というものを知らずに感情のやり場を間違えたり。
そんなウィルが少しずつ人間として英雄として大きくなっていく。
そういう話なんですよね、最果てのパラディンって。

この巻でのウィルは『勇気とは何か』という問いに悩むことになりました。


物語は『獣の森』の『森の王』を助けるところから始まります。
森の王というのはその森の環境やら生命の流れやらを司る大きな存在で、古樹として描かれていたのですが、その化身からの言葉によって今回の戦いのきっかけがもたらされたのです。
『鉄錆の山脈に、黒き災の火が起こる。火は燃え広がり、あるいは、この地のすべてを焼き尽くすであろう』
これこそが竜の災厄を告げるもので、ウィルが立ち向かうべき次なる敵の訪れを予言するものでもありました。
この予言やスタグネイトから受けた言葉をきっかけにウィルは大きく悩むことになります。


3巻が上下巻に分かれていることからもわかるとおり、この巻は大きく分けると2つのパートに分かれます。
前半にあたる上巻では戦いのための準備が。
後半にあたる下巻では竜とのその戦いが。
そしてその両方で、1つの問いとウィルは戦うことになります。
それが上でも書いたとおり『勇気とは何か』ということです。

上巻では新たな出会いがありました。
ドワーフの青年ルゥです。
彼はドワーフでありながら背が比較的高いのですが、猫背ということもあり弱気な性格が表に出ているような、そんな人物でした。
彼はウィルの従士として訓練を積み、その中でだんだんと自信を付けていきます。
その自信は戦いにだけ活かされるものではありません。
彼はウィルを信じ、従士となると誓った際に捧げた『まこと』に恥じぬように堂々と熱き魂の言葉を発しました。

下巻では竜と対峙した際に交渉をふっかけてきました。
竜を、ヴァラキアカを傘下に置かないか、という提案です。
ただそれは竜が自分に立ち向かってきたものを試すための『竜の謎解き』で。
息が浅くなり、手足が震え、身体がこわばってしまうような混乱の最中に、そっと添えられた神さまの心に触れることでウィルはこれを見事跳ね返します。

勇気とは何か。
今ならその問いに答えることが出来るでしょう。
それは守りたい誰かのために、信じたい何かのために必至に足を踏み出した時に後からついてくるものだと。

竜という強大な敵に立ち向かうことで、ウィルは成長しました。
『なんのために戦うのか』という2巻からの問いにも同時に回答を得ながら。

最果てのパラディンは英雄の武勇を描く物語でありながらも、実はそうではないように感じています。
これは弱い人間が、その弱さと向き合い、それを糧にして英雄へと変わっていく物語なんです。
ウィルは弱い人間です。
だからこそ強くなれる。
そういう物語なんだと強く感じています。


この巻の本筋はこの通り『勇気とは何か』という話だったわけですが、それ以外にももちろん見どころがいくつもありました。
例えばガスとの再開。
数年ぶりに再開したガスはやっぱり良いおじいちゃんで、仲間を紹介するところなんか読んでいるこちらが泣けてしまいそうでした。
孫や子供の成長を見守るおじいちゃんの気持ちですよね。
だからこそ良い仲の女の子はいないのか、と心配してしまうのものなんとなくわかります。

印象的なシーンで言うとやっぱりヴァラキアカを屠るシーンが真っ先に出てきます。
《喰らい尽くすもの》を抜剣したウィルが竜の炎をその身に受け、身体を崩れさせながらもただひたすら切り続ける描写は圧巻の一言。
挫けそうになる心を母に叱りつけられながらも、生きることを諦めずに剣を振るう姿がとても印象的でした。

竜との戦闘だと、グレイスフィールとスタグネイト両方の《遣い》がウィルに助太刀するところも忘れらません。
ウィルという1人の英雄に2柱の女神が肩入れする、と言う展開もそうですが、スタグネイトのちからでかつて竜に敗れたドワーフの戦士たちが蘇るところはやっぱりカッコよくて。
ロード・オブ・ザ・リングのアラゴルンがイシルドゥアの世継ぎとして死者を召集したシーンなんかを思い出しましたね。

この竜との戦いでウィルはさらなる力を手に入れました。
竜の生命を吸い取ったわけですから、それも当然というわけで。
荒れ狂うようなその力は今まで以上にウィルを強くするのですが、同時にそれは人間からかけ離れてしまうという呪いでもあります。
これをどう扱っていくのか、どう向き合っていくのか、というのが今後の展開として考えられるのではないでしょうか?
ウィル自身はどうあれ、周りの人間はウィルをもう人間としては見なくなるかもしれませんし、戦いに身を投じるのは当然だと思われたり、怪物として忌避されたりと問題が付きまとうことになりそうな予感がします。


さいごに

この巻で大きな力を得たウィル。
ですがそれ以上に大きいのは戦いに対して改めて答えを見つけられたことだと感じています。
彼がこれからどのような嵐の中を進むことになるのか、それが楽しみになりますね。

そういえば、竜の力を得た時にジークフリートの逸話についてちらっと出ましたが、個人的には先日出たダンジョン飯の4巻のファリンを思い出したりもしましたね。
どちらも大きな力を得たようですし、それぞれどうなっていくのかを見ていくのも面白そうです。

楽しみな作品が増えるのはうれしいですね。
4巻以降も楽しみにしています。


他の巻の感想はこちら

最果てのパラディン1巻読了。描かれる成長とともに読者も変わっていく物語でした。
最果てのパラディン2巻読了。外の世界へ飛び出したウィルの精神的成長を描いた第二巻の感想。



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