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今日の晩御飯はサンマ定食

読んだもの見たものやったものを自分なりに整理、紹介。備忘録。

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最果てのパラディン1巻読了。描かれる成長とともに読者も変わっていく物語でした。


異世界で生まれ変わり第二の生を精一杯生きる成長譚、最果てのパラディンの1巻を読み終えました。
途中なんども涙を零すような素晴らしい1冊だったので感想をまとめておこうと思います。


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あらすじ

何かに挫折し、そのまま生を終えた主人公。
彼は気がつくと赤子として生まれ変わっていた。

骸骨の剣士、ミイラの神官、魔法使いの幽霊の3人に愛を注がれ、教えを受け育てられた彼が成長し、世界の謎に触れ、巣立っていくまでの成長譚。


感想

この本を読み始めた時、最初は正直『また転生ものか』と思っていました。
ただ、登場する人物がどれも特殊で。
1人は骸骨の剣士であるブラッド。
1人はミイラの神官であるマリー。
1人は偏屈な魔法使いの幽霊であるオーガスタス。
この3人と主人公のウィルしか出てこない様子を見て、これは他の転生ものとはちょっと違うぞ?と感じてからは一気にこの世界観にのめり込んでいたように思います。

個人的なイメージではありますが、転生ものと言えば転生した先は異世界で、主人公はそれを分かっていて、さらにその世界の人たちとは異なる特別な力をもっていて、かわいい女の子とか出てきて……というようなものが多いように感じています。
それが悪いとは言いませんが、ある意味テンプレート化されているため、食傷気味と言いますか、飽きを感じていたんですよね。
刺激的なものを求めているのにまた同じ展開を読むのは正直苦痛で、今では転生ものを避けていたりもします。

ただ、この最果てのパラディンはいつもと違って。
もちろん特殊な能力というか、恩寵のようなものを授かってはいますが、それよりも15年にも渡る本人の努力と育ての親の愛情によって強くなるという過程があって。
前世ではまともに生きることができなかったからこそ、この世界では全力で生きよう。
そう思う主人公の全力の生き方が、終盤の戦いに納得感をもたせることにつながっていたように感じました。


上でも書いたとおり、最果てのパラディンは最初生まれ変わった直後から始まります。
赤子として目を覚ました主人公は、前世の記憶を引き継ぎながら別の世界での第二の生を授かります。
しかし、最初に目にすることになるのは骸骨。
その後はミイラ。
そして幽霊。
主人公だけでなく、読んでいるこちらも『何が起きているんだ?』と思いながら読み進めることになるんですよ。

読み終えてからここを思い返すとよく出来ていて。
転生もののいいところとして挙げることができるものに、『主人公と読者の知識量の共有』というものがあると思うんですが、これをスムーズに行うことが出来ているんですよね。

読者この本を触れるのが始めてなので当然この話の世界観については全くの無知です。
主人公も同じように、この世界観については全くの無知の状態から始まるので、主人公の学習がそのまま読者の学習へと繋がっていきます。

ただ最果てのパラディンはそれだけではなく、3人の育ての親への愛着も同じように共有することが出来ているように感じています。

最初謎の存在としか思えなかった3人が、それぞれ主人公であるウィルとの生活を通して愛情を注いでくれることを知り、本当の親であるかのように感じていきます。
これは読んでいる側も同じで、最初は不気味な存在だったのにいつの間にかこの3人のことが好きになっているんですよ。
だからこそ、最後の展開で涙を零し、読み進める手が震えてしまうようなことになってしまいました。


それと、単純に主人公の設定も好きなんですよ。
最後の戦いの際に神の『木霊』が発した『聖痕』というワード。
これはマリーを助けようとしてウィルが身に受けてしまったやけどがそうなったということなんですが、これ、愛情から来るものだと思うんですね。
精一杯生きると決めたウィルが、自分を育ててくれたマリーの姿を見て、助けようと危険を顧みずに行った行動への代償であると同時に勲章でもあります。
また、ウィルが毎日食べていた食べ物も母であるマリーの愛情から来るもので、それがウィルの身体を形作っていると言えるでしょう。

身につけた技、知識、そしてその身体の全てが、親である3人からの贈り物なんですよね。


世界観や話の展開も好きですが、それ以上にウィルの生き方や育ての親である3人が好きで好きで。
もうそれだけでこの本を読んで良かったと感じました。

育った地を離れ、人の生き残りを探して旅する主人公ウィルに降りかかるであろうこれからの災厄や、人々との出会いを楽しみに、2巻以降も読んでいきたいと思わせる作品でした。
濃厚なファンタジー世界感を探している人だけでなく、人と人との誠実な出会いや生き方を描く作品を探している人にもおすすめできる1冊だと思います。

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