灰と幻想のグリムガルの10巻が発売されました。
今回は前回までとはちょっと異なる話で、グリムガルの根幹に関わるような、そんな話の序章という雰囲気でした。
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あらすじ
逃げるハルヒロたち。
そしてそれを追うグォレラの群れ。
執念深く追い続けるグォレラを振り払い、辿り着いたのは謎の人物ジェシーが取りまとめる小さな村だった。
他の人物とは異なる情報を持つジェシー、迫り来るグォレラ。
翻弄され続けるハルヒロたちは生き残ることが出来るのか……。
感想
前の巻である9巻のラスト、ランタがフォルガンを抜けるシーンだったので10巻はその続きだろうと思っていました。
ランタとタカサギの戦いがあって、仲間と合流するも最終的にはランタが死んでしまって……みたいな。
色々あったけど、色々言い合ったけど、あんなやつだけどやっぱり仲間だったんだ……みたいな。
実際はそんなこと無かったんですけどね。
最初にも書きましたが10巻は『グリムガルとは何か?』という話を明かし始める、その始まりなんだと思います。
今までもチョコとのやりとりなんかで『元の世界』がちらつくようなことはありましたが、この巻では冒頭から『元の世界』の記憶の話が語られます。
まぁハルヒロたちではなく、かつていたとある義勇兵の話、という形式のプロローグなんですが。
この巻の重要人物は間違いなくジェシーでしょう。
『かつていたとある義勇兵』もジェシーを指しているようですし。
ただ、気になる点というか、謎が多いんですよね。
1つめは『元の世界』の記憶について。
グリムガルの世界で『元の世界』のことを思い出しそうになると、その後すぐにそのこと自体が記憶から消えてしまうんですよね。
赤い月を見て思った違和感が風に流されて消えてしまう、というように。
ですがジェシーは違います。
『元の世界』の記憶をそのまま持っていて、それを失うことがない状態です。
2つめは生きていることについて。
上で描いたように10巻はとある義勇兵の話から始まります。
その義勇兵が死の間際に走馬灯のように思い出した『元の世界』の話。
それはとある外国人が日本に来て生活していた時の記憶でした。
日本に憧れて、アニメやマンガに惹かれて日本に辿り着いた外国人。
この外国人こそがジェシーであり、そして死の淵にいる義勇兵だったんですね。
ただ、気になるのは、その時まさに『死の淵にいた』はずだということ。
最後の最後にであったフードの女が言った「方法はある。一つだけ」という言葉。
この人物によってなのか、別の方法なのかはわかりませんが、ジェシーがそれによって生き返ったみたいなんですね。
3つめは『おれにはね』という言葉について。
2つめのものとリンクしているかもしれませんが、これも気になる要素ですよね。
ジェシーの言葉にはちょこちょこと「おれにはね」という言葉が挟まります。
「どうしようもないんだ。おれにはね」みたいな感じで。
これってつまり、ジェシーではない別の誰かによってであればなんとかなる、ということなんじゃないでしょうか?
ジェシーが生き返ったのもその別の誰かによるものだと考えると想像しやすいような気がしますが……。
とまぁここまでジェシーについて色々書いたのには理由があって。
10巻で一番衝撃を受けたラストシーンについての今後の流れを考える上で必要だからなんですよね。
その衝撃を受けたシーンというのは『メリイの死』です。
正確にはまだ死んでいないのかもしれませんが、ラストの笑顔はそういうことでしょう。
今までの流れであれば、マナトやモグゾーのときのように辛い別れをしておしまいにするしか無いのかもしれませんが、今回は状況が異なります。
それがジェシーという存在なんですよね。
次巻予告として最後のページに書かれていた言葉。
「方法はある。一つだけ」に込められた意味は、ジェシーのプロローグを読んでいれば全てを察することが出来るでしょう。
メリイを生き返らせる、それがこの先の目標になるはずです。
ただ、それは簡単な方法ではないことも、ここまで読んでいればわかります。
ハルヒロたちが何かを代償にしなければならないこと。
また、剣で突き刺されてもほとんど血の出ないジェシーのように何かが変わってしまうであろうこと。
そして、そこまでして生き返らせたメリイはメリイではなくなってしまっているかもしれない。
そんなことも頭を過ります。
ですが同時に『メリイを生き返らせる』ことがグリムガルの真相に繋がる鍵になるとも思うんですよね。
だからハルヒロたちがどうなってしまうのか本当に怖いのですが、真相にたどり着くためにも先へ進んでいって欲しいとも感じています。
さいごに
上で書きたいことは書いたつもりなのですが、この10巻にはまだ他にも要素が色々詰まっているんですよね。
ジェシーの記憶で最後にいた場所は『東京』だったことなんかがそうです。
このへんのグリムガルの真相が今後の巻で明かされていくことを楽しみにしています。
それとランタ。
9巻で保留となっている箇所がほとんど進展していないので、そのへんの回収も進めていってもらいたいですね。
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http://katsuji.ni-moe.com/ranobe/grimgar_10灰と幻想のグリムガル10巻感想。グリムガルの真相への序章となる1冊でした。
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