あらすじ
「もう大人に負けないほどいろいろなことを知っている」と自称する主人公(小学4年生)が住む街に、ある日突然列をなすペンギンが現れた。
このおかしな事件に普段から良くしてくれているお姉さんが関わっていることを知った主人公の少年は、友人たちとその謎を研究していく。
小学生の少年たちとふしぎなお姉さんを巡るすこしふしぎな物語。
感想
いつもの森見ワールドとは別物ではあるのですが、やっぱり主人公のぼくの口調や言い回しから森見節は感じられる作品でした。
最初に読み始めた時は主人公の設定がちょっと想像と違ったので驚きましたが、読んでいくうちにぼくの見ている風景を想像しては小学生の頃を思い出し、少し懐かしい気持ちになったりしてしまいましたね。
ただ、小学生らしい生活や悩みを小学生らしからぬぼくの視点で見ていると、いろいろな出来事が自分も知っているはずなのに全然別世界のことのように思えるのも面白いところです。
また、この作品で大事な人物といえば、主人公のお父さんでしょう。
お父さんは少年へ、時にアドバイスをし、時に問いかけ、ぼくの行く末を見守っています。
このお父さんの影響で主人公のぼくはとてもかしこい小学生になり、お父さんのおかげで前へ進むことができたのです。
守るだけでなく、大人は子供の背中を押してあげるもの、というようなことを伝えるようなお父さんにも注目して読んで欲しいですね。
あとはやはりぼくとお姉さんの掛け合いも面白いですね。
かしこい小学生であるぼくとふしぎなお姉さんの会話がテンポよく進んでいき、とても心地よいものとなっています。
ペンギン・ハイウェイはすこし変わった小学生のぼくとふしぎなお姉さんのすこしふしぎな物語でした。
ゆっくりとしたSFですので、気になる方はぜひ読んで見てもらいたい一冊です。