ざっくり感想
全体的に綺麗にまとまっている印象を受けました。
問題提起についても、その解決に向けた仲間集めも、その後の失敗と解決についても綺麗な起承転結になっていて分かりやすくノリやすい作りになっているかと思います。
この分かりやすい起承転結はアナと雪の女王を見た際にも感じたものですね。
ただ、個人的にはその起承転結にノリきれなかったりもしたので、みんながみんなノれるとは限らないとは思いますが……。
このノり切れなかった部分こそが『もやもや』に関連するものかと思うので、以下にまとめてみます。
登場人物
ベイマックスには主人公とその兄とおば、兄の大学研究室の友人、教授、企業のお偉いさんといった登場人物がいますが、それぞれのバックグラウンドについてはあまり深く語られません。
物語に関係ない部分まで説明する必要はないとは思いますが、キャラハン教授やクレイ社長については特に専門用語だけの説明しか無く、正直どれくらいの人物なのかが全く理解できませんでした。
察することが出来る話としては上記の2名については教授が良い人そうで、社長が悪者っぽいことと、なんらかの確執があるということくらい。
感情移入するにも、またミスリードにノるにも情報が不足しすぎに感じました。
世界観
登場人物の項で専門用語の話に触れたのでこちらにも書いておきますが、舞台であるサンフランソウキョウについても同じようなことが言えるかと思います。
全体的に文明レベルは高そうなのですが具体的な生活が見えてこないため、ある意味ハリボテと言えるかもしれません。
生活感のない世界を見せられてもそこに魅入られはしないです。
ラストシーン
物語の最後、ベイマックスのロケットパンチでヒロ達は異空間から帰ってくることができたわけですが、その後の展開は個人的にはすべて台無しにしているように感じました。
一緒に戻ってきた腕にチップが握られているところまでは良いとして、その後ベイマックスを復旧するまでが早すぎて感動的な別れが無意味なものになっているように感じました。
兄であるタダシが物凄い労力をかけて作り上げたものを、復旧のみとはいえ一瞬で終わらせてしまうのはさすがにきついものがあります。
テレポーターに飛び込んでいくシーンのセリフなどはタダシが教授を助けに行こうとして火の中に飛び込んだシーンに重ねているのだからその後も兄のように努力して何かを作りあげる、という展開があってもいいのでは、と思いましたね。
例えばベイマックス3.0のような、より改良されたモデルのロボットを作ってそれにチップを入れる、とか。
『タダシはいる』っていうのが本当に帰ってくるってことではないように、『ベイマックスはいる』もそういう意味ではないだろ、と思いましたね。
後日談
ラストシーンでの感動の後、その後の研究室メンバーの話がありますが、なんでヒーローを続けているのでしょうか。
タダシが言っていたような才能の使い方とも違うし、ベイマックスについてもタダシが考えていたケアロボットとしての運用は話題になっていないし、なにより『この大学に入らないとダメだ』と言っていたころのヒロの決意はどこにも見当たらないように思います。
キャンパスライフ楽しみつつヒーローもこなす、みたいに見えて正しい後日談だったのかはかなり疑問です。
最終的な感想
正直に言うと、そこまで高評価になるような映画だとは感じられませんでした。
ただ、見ている間はちゃんと楽しむことのできる作品だったことは間違いありません。
超感動傑作とは違いますが、感動できるヒーローコメディとしてみると確かに面白かったです。
上記のような理由で自分はもやもやしていますが、ベイマックスが空を飛ぶシーンなんかはかなり格好良く、見ながらテンションが上がっていました。
それだけにノリきれなかったことが残念に感じます。
こんな感じで感想については閉めさせていただきますが、最初に書いたように、何か読み間違えているようなことがありましたらご指摘頂けると助かります。
特に原語ではこうなっているというような話については把握できていませんし、1度しか見ていないので見零したシーンもあるかと思います。
そのような箇所ありましたら教えていただけると嬉しいです。