次の章へ動き出した物語
前の巻まででヘンドリクセンとの戦闘も終わり、王国の危機は脱したところですが、次の脅威が王国や七つの大罪へと迫り始める、というのがこの巻の話です。
簡単に言うと第二部のプロローグが始まったところ、という感じでしょうか。
今までは聖騎士とはどのような存在か、魔力とはどのようなものか、と言った七つの大罪の世界観の説明をしつつ、強大な敵である魔族の恐怖の一端を説明してきていたかと思います。
ですが、ここからはより深いところ、例えば七つの大罪のメンバーが持つ『大罪』とは何なのか、魔族とは本当はどのような存在なのか、と言ったところを明らかにしながら話が進んでいくのではないでしょうか。
また、魔族について語る際には他の種族のことについても触れることが必要になるでしょう。
妖精については以前から触れられていましたが、例の角笛やエリザベスにも関連する女神族についても今後明らかになっていくのでは、と思います。
それと最後に、ヘンドリクセンとの戦闘後、死んだかと思われていたのに復活したホークについて。
14巻現在では残飯を食べ漁ることでもとの姿に戻っていますが、実はかなり大きな要素なのを早めに流してしまいたいからすぐに戻したのでは、と思っています。
即死させる強力な魔力を受け、そこから復活する、というのは女神の力を行使したエリザベスをも凌ぐ能力(または特性)ですし、これからの話の中核を担う、というような要素であってもおかしくないのではないでしょうか。
『数値化』の大罪
正直にいうと「やってしまったな」という感想しかありません。
ドラゴンボールなどのインフレ漫画には強さの数値化という要素がつきものです。
今まで圧倒的だった存在を更に上回る存在を突然出し、そこまでとのギャップを作るという手法として有用なのはわかります。
しかし、より強い敵が出てくれば、英雄はより強くならざるを得ない。
そして、それを乗り越えた先には何があるか、といえば強くなった英雄をも脅かす更に強大な敵です。
数値化するまではなんとなくこっちのほうが強い、というような感覚的なものだったため、はっきりとはわからないようになっていましたが、数値化したあとは序盤の敵がただの雑魚だとはっきりと分かるようになってしまいます。
感情による上昇要素についても言及があったので、感情のみではなく何らかの要因があれば飛躍的に強くなることができる、ということで乗り切るのかもしれませんが、正直そこまでうまくいくとは思えません。
また、強さを数値化するのはそのキャラの言動による表現を捨てたというようにも見えてしまいます。
山をも両断するキャラよりも強いキャラを出すときの表現に限界が来ていたのかもしれませんが、数値に頼ってしまう、というのは残念に感じてしまいました。
今後数値化を逆手に取ってより何らかの伏線として使う、などあるならば違うかと思いますが……。
感想
全体として感想をまとめると、今後どうなっていくのか楽しみ、となるでしょうか。
七つの大罪同士のいざこざを通してその内面、大罪についても明かされていくでしょうし、種族という要素についても明らかにされていくでしょう。
また、数値化の手法を取った先に何があるのか、というのも楽しみです。
ファンタジーも能力バトルものも好きですし、なんだかんだ登場人物の行動理念がぶれてなかったりするのも好きな箇所なので今後も継続して読んでいこうと思います。